日本人は、季節の移り変わりを愛で、体感しながら暮らしてきました。月、2月月といった数字で月を表すのは、分かりやすく便利です。でも、それだけでは少し味気ないと思いませんか。
日本語には、細やかな心を伝える暦にまつわる言葉があります。たとえば、6月は水無月(みなつき)。梅雨のイメージなのに水が無いないんておかしい、と感じるかもしれませんが、実は旧暦の6月は、夏の暑い盛りです。暑くても雨もふらず水が涸れることから水無月と命名されたという説があります。他にも、田に水をひくので田んぼ以外に水がないから「水無月」、農作業を全てやり尽くした「皆仕尽(みなしつき)」から……といった説もあるようです。
続く7月といえば、やはり七夕が大きな行事です。そのため、「七夕月」というそのものずばりの呼び名もあります。また、七夕の行事では短冊に歌や願い事を書きます。文を披露することから、文披月(ふみひろげづき・ふみひらきづき)、文月(ふみつき)という7月の呼び名が生まれたともいわれています。
7月には、「愛逢月(めであいづき)」という素敵な名もあります。年に1度しか会うことのできない織姫と彦星が、互いに愛し合う(逢う)——。天の川を眺めながら、2人に思いを馳せる先人たちの気持ちが伝わってくるようです。愛逢月と聞くと、素敵な出会いの予感もしてきます。
1年を24等分した二十四節気では、7月7日頃は暑さが厳しくなり夏本番となる「小暑(しょうしょ)」。そして、7月23日頃は一年で最も暑い時期「大暑(たいしょ)」です。玄関や庭先に打ち水をすれば、夏の暑さも少しは和らぎ、涼を得ることができるかもしれませんね。
打水や 挑灯(ちょうちん)しらむ 朝参り 一茶