こんにちは、理事長の工藤です。
前号では、こんにちは、理事長の工藤です。前号では、「食物アレルギーを心配する患者さんが間違いやすいポイント」についてお話しました。
今回は「『食前』『食後』のコトバの定義」についてお話します。
■「食前」「食後」のコトバの定義って知ってますか?
あなたは漢方薬を服用するタイミングを御存じですか?西洋医学のお薬とは服薬のタイミングが違いますので注意してください!西洋医学の多くのお薬を飲むタイミングは「食後」であることが多いです。その理由の多くは、胃など消化器系に負担をかけないためです。それに比べると漢方薬を内服するタイミングは「食前」または「食間」です。さて、この「食前」「食後」「食間」というコトバは聞きなれている方が多いと思います。しかし、意外にコトバの定義があいまいな場合が多いです。なので、ここで解説します。「食前」とは食事の20~30分前です。反対に、「食後」とは食後20~30分後のことです。「食間」とは諸説ありますが、だいたい「食後2時間」が目安と言われています。ではなぜ、漢方薬が「食前」もしくは「食間」なのでしょうか?それは、食事や胃酸の影響を受けないようにするためです。西洋医学の多くのお薬とは逆ですね。空腹のときに服用することで、生薬の吸収効率を上げることができます。
■漢方を飲むタイミングは難しい!?
それにしても、「食前」って結構難しいと思いませんか?「食後」ならまだしも、食事の30分「前」って結構難しいですよね。「夜の7時から食事だから、6時半には漢方を飲むんだ!」と計画をたててもいろいろと忙しくて用事があったりするとあっと言う間に食事の時間になってしまいます。かと言って、「さっき漢方を飲んじゃったから、食事はあと30分待つんだ!」と思って、目の前に食事が並んでいるのにじっと30分待つのも我慢大会みたいでちょっとつらいですよね。実際、「食前に飲むのが難しくて飲めませんでした」といって漢方薬を内服しないでしまう方もいらっしゃいます。ですので、私が漢方薬を処方するときには、「食前に飲めれば飲んでください。でも、食前に飲み忘れたら食後でも良いので飲んでください。」と説明しています。なぜなら、食後で吸収が悪くなっても服薬しないよりはずっと良いからです。どうしても時間がなければ、食事のあと30分待たないで、「食時の直後」でも仕方がないと思います。もちろん、決して望ましいことではないのですが、飲まないよりは良いでしょう。「飲まなければ効果が出ない」のだけは確かですから。ですので、漢方薬は本来、「食前もしくは食間」がオススメですが、どうしても「食前」が難しければ、「食後」でもよいので内服してみてください。