あやし皮膚科クリニック病院だより

第91回 結局アトピーの食事療法って何が良いの?

こんにちは、理事長の工藤です。

前号では、「『食前』『食後』のコトバの定義」についてお話しました。

今回は、「結局アトピーの食事療法って何が良いの?」についてお話します。 

■結局アトピーの食事療法って何が良いの?

アトピー性皮膚炎やじんましん、その他の皮膚病などの治療法のひとつに、食事療法があります。医学的に、漢字で「食餌療法」と書く場合もありますがほぼ同じ意味だと思っていただいてオーケーです。(ここではわかりやすく食事療法とします)食事は、私たちのエネルギー源であり、体を構成している成分も多くは食事から摂取するものです。「食事が私たちの体を作っている」と言ってもよいでしょう。そういう意味で、皮膚科の分野だけでなく多くの病気には食事療法が有効である場合も多いです。 まだまだ食事療法の有効性は科学的に完全に実証されたわけではありませんが、糖尿病の食事療法をはじめとして、徐々に「食事で何を摂取することが良いのか?」というテーマは、徐々に一般に浸透しつつあるようです。さて、私も専門家として色々な食事療法を学びました。本だけでも100冊以上は読んだと思います。そこで気付いたのは、「食事療法にはたくさんの流派がある」ということです。それだけならまだ良いのですが、困ったのが「流派によって、全然言っていることが違う!」ということです。 

■流派によって言っていることが全然違う!

たとえば、お肉について。「お肉は絶対食べてはいけない!」という流派もあれば「4足歩行の動物のお肉は食べてはダメだが2足歩行のお肉は食べてもよい」つまり、鶏肉はオーケーだけど豚や牛はだめ、という流派もあります。反対に「赤みの肉をたくさん食べたほうがよい!」という流派もあります。魚にしても、「お肉はダメだが魚は良い」という流派もあれば「魚もお肉もだめ。野菜などの植物だけで十分!」という流派もあります。もちろん、お魚もお肉もしっかり摂取するほうが良い、という流派もあります。他にも、「小麦、パン類は絶対ダメ!」「玄米がよい!」「玄米は良くない!」「野菜はすべて生でないとダメ」「野菜は、生ではなく火を通したほうがよい!」「電子レンジは電磁波が出ているので使ってはダメ」などいちいち挙げだすとキリがありません。それぞれに理由があり、それなりに説得力もあるので本当に困ってしまいます。これだけたくさんの流派があるということは、ある意味、「決定版がない」ということでもあります。だとすれば、ここから導き出される結論は「その人に合う食事療法は、その人によって異なる」ということなのではないかと思うようになりました。

当院でも食事療法による治療を行っていますので、ご興味がある方はご相談ください。