あやし皮膚科クリニック病院だより

第88回 「水いぼ」ってどうやって治療するのですか?

こんにちは、理事長の工藤です。
前号では、こんにちは、理事長の工藤です。前号では、「『水いぼ』ってなんですか?」についてお話しました。

■今回は水いぼ(=伝染性軟属腫)の治療法についてお話をしていきます。

 水いぼの治療はいろいろな方法があります。もっとも多く行われている方法は水いぼ用のピンセットで水いぼを1個1個つまんで除去していく、という方法です。なんだかずいぶん原始的ですね。この治療法だとピンセットで皮膚がつままれることになるのでかなり痛いです。そのため、最近では、麻酔薬がしみこんだシール(商品名:ペンレス)を使用する治療法が主流です。まず、1個1個の水いぼの上に、この麻酔シールを貼ります。そして2時間程度時間を置いてからこのシールを剥がします。そして、水いぼをピンセットでつまんで取ります。麻酔シールを貼った部分は皮膚の感覚がなくなっているので、あまり痛みを感じずに水いぼを取ることができます。麻酔のシールを使用することで、あまり困ることはないのですが、ひとつだけ、非常に危険な副作用があります。最も危険な副作用とは、アレルギー反応によるショック症状を起こしてしまうことです。この麻酔シールに対するアレルギー体質を持ってしまった方はこのシールを貼るとショック症状を起こしてしまう可能性があります。きわめて稀なことですが、ここだけは注意が必要です。シールを貼ってから、お子さんの体調に変化がないかどうか注意する必要があるでしょう。 この治療の他に、ぬり薬や貼り薬、飲み薬などを使って治療する方法もあります。いろいろな方法がありますが、たとえば、消毒薬のイソジン(消毒薬)を使う方法。あるいは、イソジン(消毒薬)にスピール膏(皮膚をやわらかくするシート)を貼って治療する方法。他には、40%硝酸銀(劇薬)をぬる治療や、凍結療法(液体窒素で凍らせる)などもあります。飲薬では、漢方薬の「ヨクイニン」を内服する、という方法もあります。これらの方法でうまく治療すると、ピンセットでつまんでとるより、よほど痛みがなく治癒までいたる場合もあります。いずれにしろ、「この方法が一番!」という方法はなく、治療効果は、個人差があります。ご自分にあう治療法を探してみると良いでしょう。
通常、水いぼは無症状で、いつかは自然に治癒します。なので「あえて何も治療せずに放っておく」というのもひとつの選択肢です。ただし、自然に消えるまで1年~1年半ちかくかかることもあるため、その間に大きくなってきて、数が増えてきたりすることもあります。大きくなった水いぼがつぶれて、お子さんのお肌に痕が残ってしまう危険もあります。さらにそこから、炎症を起こして痛みが出たり、周囲に湿疹ができることもあります。特に、アトピーの方、乾燥肌がある方 は、夏場ですと、水いぼから細菌 性二次感染を起こし、とびひの原因になることがあるので注意が必要です。

「水いぼ」ができたら、まずはお近くの皮膚科に相談 してみてください。