こんにちは、理事長の工藤です。前号では「手あれ」ができる原因とは?」についてお話しました。
今回は前回の続きをお話します。
前回、手あれ(手湿疹)の原因は「皮膚のバリア機能の低下」+「外部からの刺激」で起こるといいました。また「皮膚のバリア機能の低下」は、「もともとの肌質」も関係する、というお話もしました。今回は「外部からの刺激をさける」について詳しくお話していきますね。
手あれになる多くの方は、水仕事など手の乾燥や刺激をうけやすい生活をしていることが多いです。ですので、外からの刺激をへらすことが重要になります。刺激の原因が明らかになった場合は、それを除去することで手あれはなおります。一番の治療法はいつでも「根本原因の除去」です。例えば、シャンプーや石鹸、あるいは仕事で使う金属や化学物質など、何が原因かを皮膚科では「パッチテスト」という手法で、特定することができます。それを除去したり避けることで症状が劇的に改善します。ご希望の方はお近くの皮膚科で相談してみてください。
手あれの注意点としては、水仕事をする場合は、直接水に触れないようにしゴム手袋をするとよいのですがゴム手袋の刺激で、かえって手あれがひどくなる方も多いです。そういう場合は面倒ではありますが、「綿の手袋の上にゴム手袋をし、二重にする」という方法がおすすめです。しかし、これらの努力は、正直かなり面倒です。いちいち、主婦が水仕事のたびに綿の手袋をして、その上にさらにゴム手袋をするのはかなり億劫です。ですので、「自分が面倒なことにどこまで自分が取り組めるか」をきちんと認識しながら取り組むこともポイントです。
あなたには「対症療法」と「経皮感作」についてどうしても知っておいてもらいたいと思います。
「外部からの刺激」の場合は、それを除去するのが一番です。これは根本的な治療です。これを「原因療法(げんいんりょうほう)」と呼びます。手あれに対して、「何かを上から塗る」という行為は「そもそもなぜ手が荒れてしまったのか」という根本原因にアプローチするわけではありません。これを根本的な治療と比べて、「対症療法(たいしょうりょうほう)」と呼びます。「手あれ」では、皮膚のバリア機能が壊れている状態です。皮膚が荒れた状態でほおっておくと、本来皮膚が防御してくれるべき「細菌」や「アレルギーの原因物質(アレルゲン)」を防ぐことができません。そのため、細菌が侵入した場合は、細菌感染を起こして、化膿したり、腫れたりします。この状態を「二次感染」といいます。 また、アレルギー物質が侵入してしまうと、今までは無かったアレルギー反応が新たに起こってしまいます。これを「経皮感作(けいひかんさ)」と言います。「経皮感作を防ぐために皮膚の状態を整える」ということは非常に重要なのです。
ですので、「クリームや保湿剤などで皮膚の表面を保護してあげる」ことを意識すると良いでしょう。