あやし皮膚科クリニック病院だより

第161回『とびひとは?』

こんにちは、理事長の工藤です。

前号では、「えっ、虫刺されで皮膚科行っても良いんですか?」についてお話ししました。

今回は、「とびひとは?」というお話をします。

 ■「とびひ」とは?

“とびひ”は正式には“伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)”という病気です。

6歳以下のお子さんが、夏場にかかりやすい病気です。

 だいぶ涼しくなってきましたが、まだまだ”とびひ”の患者さんは来院されますので注意が必要です。

 一ヵ所に症状が出ると、そこから次々と全身へうつり、広がっていく様子から“とびひ”と呼ばれています。

 “とびひ”には、水ぶくれのようになるものと、かさぶたのようになるものがあります。

かゆみを伴うこともありますが、痛みを伴うこともあります。

 とびひになったところを掻いてしまい、掻いた手で他の場所を触ってしまうと、うつってしまいます。

 自分だけでなく、他のお子さんにうつることもあります。

 原因は、虫刺されやケガ、あせもを掻いた小さなキズに、細菌が入りこむことによって起こります。

 細菌とは主に、水ぶくれのとびひ:“黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)”かさぶたのとびひ:“A群β溶血性レンサ球菌(えーぐんべーたようけつせいれんさきゅうきん)”というものです。

 この菌は多くの人の鼻の中や、皮膚の表面にすんでいます。

治療は、抗生物質の飲み薬と、塗り薬で治療します。 

とびひになったところには触らないように注意し、お薬を塗ったあとは、ガーゼなどで覆ってあげるとよいでしょう。

 治るまでは皮膚を清潔に保ち、タオルや衣類からうつることもあるので、他の人との共有はしないようにして下さい。 

よくお母さん方から聞かれるのが「お風呂に入れても大丈夫ですか?」という質問です。

 私のクリニックでは、「浴槽に入るのは控えてもらい、シャワーを浴びて体を洗うのはOK」と説明していますが、医学書には「入浴しても大丈夫」と書いてあるものもあります。

 いずれにしろ、お風呂に関してはあまり気にせず通常に近いかたちで良いでしょう。

前述の通り、入浴後のタオルの共有の方がよほど危険です。

 とびひの予防法としては、手洗いをする、爪は短めに切る、虫刺されやケガは早めに治す、鼻をいじらない(鼻の中にとびひの原因をなる菌がいるため)などのケアが大切です。