あやし皮膚科クリニック病院だより

第148回『メラノーマの見分け方』

こんにちは、理事長の工藤です。

前号では、「夏に流行する病気『手足口病』をご存知ですか?」というお話をしました。

今回は、「メラノーマの見分け方 」についてお話しします。

 

メラノーマの見分け方

自分や家族のホクロが「悪性かどうか」はとても気になります。特に、今までホクロが無かった場所に、急にホクロが出現していることに気づくとさらにビックリします。

一見普通のホクロが、実は悪性だった・・・つまり「皮膚ガン」だった、という可能性も十分にあります。「ホクロの癌」は、俗に「メラノーマ」と呼ばれますが、今回は、メラノーマと普通のホクロの見分け方をお伝えします。

 

 ■ABCDE法

一般的に有名なのは「ABCD基準」「ABCDE法」などと呼ばれる特徴です。それぞれの特徴の、英単語の頭文字をとったものです。教科書などによってその内容に微妙に違いがありますが、おおまかには以下の通りです。

 

 A:asymmetry(左右が対称でない、形がいびつ)

B:border(周囲の皮膚との境界が不鮮明、不規則)

C:color(薄い部分や濃い部分などが混在し、色にむらがある)

D:diameter(6ミリ以上の大きさ)

E:elevation(隆起している) 

 

以上の特徴のうち、「4つ以上」当てはまる場合は「メラノーマ」の可能性が高く、「2つ以下」の場合は、「普通のホクロ」である可能性が高いと言われています。どうでしょうか。あなたのホクロはいくつ基準に当てはまっていたでしょうか?他にも、メラノーマの特徴をまとめたものがありますのでご紹介します。 

 

■その他の見分け方

他には信州大学の斎田名誉教授がまとめた、メラノーマの6つの特徴があり、以下となります。 

(特徴1)大人になってから気づかれることが多い

(特徴2)はじめは平らな茶色い色のみだが、徐々に大きく広がってきたり、盛り上がってきたりする。さらに進行すると、出血したり、皮膚がめくれる(びらん)ようになることもある。

(特徴3)多くは7ミリをこえ、しばしば1センチ以上である

(特徴4)全体として、左右非対称な不規則な形をしていて、まわりに細かいギザギザを伴うこともある。

(特徴5)色は、黒~褐色が主体だが、薄い褐色~濃い褐色、薄い黒色~濃い黒色など、濃淡差があり、それぞれが無秩序に存在する。また、灰色っぽい部分や、赤っぽい部分、青みがかった灰色などの色を伴うこともある。

(特徴6)ホクロと周囲の皮膚の境界が部分的に不鮮明なところと鮮明なところがみられる。

 

 などとなります。いずれの基準にしても、あくまで「特徴をまとめたもの」であって絶対的基準ではありません。 

ですので、「あてはまらないから100%大丈夫」と断言できるものではありません。メラノーマは命に関わる病気なので、素人判断は禁物です。「他の病気で来たけど、一応、ついでにホクロ見てください」と診察してみたところ、なんとそれがメラノーマだった!などということも実際あります。心配であれば、是非、できるだけ早くお近くの皮膚科を受診してください。専門家に診断してもらうのが、一番「確実」&「安心」ですね。