あやし皮膚科クリニック病院だより

第144回『50歳以上の方は帯状疱疹に注意!』

こんにちは、理事長の工藤です。前号では、「圧倒的にこどもに多いウイルス性湿疹」についてお話ししました。今回は、「50歳以上の方は帯状疱疹に注意!」というお話をします。

 

50歳以上の方は帯状疱疹に注意!

さてさて、とっても怖い帯状疱疹ですが、研究データによると、日本人の3人に1人は、「80歳までに1回は帯状疱疹にかかる」と言われています。多くは1回かかると2度目はかかりません。ほとんどの人がかかったとしても、一生に一回、と言われています。しかし、免疫力が低下している場合や、1回目の罹患から数年~数十年とあいだが空いてしまった場合、人によっては、2回目、3回目と繰り返しかかる方もごくまれにいます。帯状疱疹の多くは、50歳以上に発症しやすく、帯状疱疹の全患者さんの約7割を占めます。以前お話しした通り、帯状疱疹になると、怖い後遺症の「帯状疱疹後神経痛」になる危険がありますので要注意です。ですので、50歳以上の方は、何らかの対策が必要です。

 ■50歳過ぎたら帯状疱疹予防はコレ!

どうすれば帯状疱疹にならずに済むのでしょうか?帯状疱疹は、免疫力が低下すると発症します。なので、免疫力を維持できるような健康的な生活が重要なのは言うまでもありません。具体的には、規則正しい生活、十分な睡眠、栄養たっぷりの食生活、適度なストレス解消などです。しかし現代社会において、このような生活を完璧に実行できる人はむしろ少ないことでしょう。どうしても加齢による影響や、人間関係よるストレス、お仕事による多忙、不規則な生活などによって、疲れがたまって、免疫力が低下してしまいがちです。そこで、おススメなのが、「帯状疱疹ワクチン」の接種です。帯状疱疹になる前に、あらかじめ「帯状疱疹ワクチン」の接種をしておくわけです。ようするに、小さいお子さんの予防接種のようなものですね。では、ワクチンにはどんな効果があるのでしょうか?海外のデータでは、帯状疱疹ワクチンを接種したところ、帯状疱疹の発症率が51.3%減少した、という報告があります。また、万一、ワクチン接種の後に帯状疱疹を発症してしまったとしても、ワクチン接種のおかげで、痛みが61.1%減少します。また恐ろしい後遺症である「帯状疱疹後神経痛」の発症も66.5%減少します。

つまり、帯状疱疹ワクチンを接種することによって、

 1.帯状疱疹になりにくくなり

2.万一なってしまっても痛みは軽くなり

3.さらに、後遺症も残りにくくなる

 ということです。良いことづくめですね。副作用は、一部の人が注射を打った場所が少し赤くなる程度で、重大な副作用もほとんどありません。「帯状疱疹の発症は50代以上が多い」というお話をしましたが、実際は、70代がピークです。なので、50代の方も接種が勧められますが、むしろ、60代、70代、80代の方は、是非、早めに帯状疱疹ワクチンの接種を検討してみてください。

ワクチンの効果は、研究データにもよりますが、だいたい5~10年程度は持続します。ですので「50歳を過ぎたら、10年に1度は接種をすると良い」という専門家もいるくらいです。費用は自費診療になるので医療機関によりますが、だいたい1回5千円~1万円くらいです。保険がきかない分、少し高いようにも感じますが、1回接種すれば数年~10年程度は効果が続きますし、帯状疱疹だけでなく後遺症である帯状疱疹後神経痛になってしまうリスクを考えれば、接種してみても良いかと思います。