こんにちは、理事長の工藤です。前号では 「かゆいときにどうして掻いちゃいけないの?」についてお話ししました。今回は、「注意!あなたの足は本当に水虫ですか?」というお話をします。
そろそろ暑くなってくる頃です。湿気が多くなったり、汗をかいたりする季節は水虫の患者さんも多くなります。そこで今回は、水虫のお話です。
足の裏がかゆい・・・
足がかさかさする・・・
足の皮がむける・・・
足に小さい水ぶくれ(水疱)ができる・・・
あなたは足の裏にはそのような症状はありませんか?
もし、そのような症状があなたの足にあったとしたら真っ先に何の病気を考えますか?恐らく多くの方が「水虫です」と答えると思います。しかし、それは本当でしょうか?実は水虫かどうかは、見た目だけからは「絶対に」わかりません。こんなことを言うと、「工藤先生、そんなバカなこと言わないでください!だって足の皮がむけてるし、かゆいし、どこからどう見たって、私の足は水虫ですよ!」と、思われる方もいらっしゃるかも知れません。続けて解説していきます。
実際、クリニックで診療していても、「私の足は水虫に決まっている!」と力説される患者さんも、結構いらっしゃいます。でも、やっぱり見た目だけからは判別できないんです。これは紛れもない事実です。というのも、水虫以外にも、足の皮がむけたり、水疱ができたり、かゆくなったりする病気があるからなんです。しかも、「かゆくない水虫」もたくさんあります。水虫治療を専門に何十年も診療している偉い先生方も、皆、口をそろえて「見た目だけからは絶対わからない」と仰います。世界中の皮膚科の医学書を全てみても、「見た目だけで判別できる方法」は記載されていない筈です。実際、皮膚科の外来へ水虫の訴えで来る患者さんの、「3人に1人は水虫でなかった」という論文もあります。ではどうすれば水虫かどうかわかるのか?それはずばり、「顕微鏡検査」です。剥けている皮の一部をピンセットでつまんでとって、その皮を顕微鏡でのぞいて見ます。すると、水虫菌がいる場合ははっきりと目で見えます。皮膚科医が「これは絶対水虫だろう」と思っても、何度検査しても全く菌がみつからないこともあります。また、「いや~これは水虫じゃないだろう。でも一応調べておくか」と顕微鏡検査したところ水虫菌がうじゃうじゃ見つかることもあります。これは実は、皮膚科医にとっては日常茶飯事です。ですので、患者さん自身が見た目で水虫かどうかを判別することはほぼ不可能だと考えます。私のような若輩者の皮膚科医はもちろんですが、数十年のキャリアがある水虫の専門家ですら見た目だけでは判別できないわけですからね・・・。なので、皮膚科を受診して、きちんと「顕微鏡検査」を受ける必要があります。