あやし皮膚科クリニック病院だより

第103回パーフェクト手洗い法とその落とし穴!

こんにちは、理事長の工藤です。前号では「今日からできる乾燥肌対策」についてお話しました。

 

12月に入り、寒さが一段と増してきましたね。みなさんできるだけ風邪やインフルエンザにはかかりたくないと思います。そこで今回は、パーフェクトな手洗い法をお伝えしていきます。 

インフルエンザを始めとする感染症の予防には、手洗いが大事だということは皆さんご存じだと思います。でも、ただ、ささっと水で流すだけではきちんと汚れは落ちません。そこで、お医者さんが手術前などにしている手洗いの方法をお届けします。私たち医師や、看護師さんは、何か処置をする時や患者さんに触れた後など、普段からこの方法で手を洗うことが多いです。 

この手洗い方法のポイントは、「手のひらだけでなく、爪、指と指の間、手の甲、親指、手首までしっかり洗うこと」です。石けんをしっかり泡立てて使い、念入りに蛇口まで洗うのもポイントです。ですが、この方法もちょっとした落とし穴があります。確かにこの手洗い法は洗い方としてはほぼパーフェクトです。ですが、実はパーフェクトであるが故の弱点があります。それは「石けんを使って洗いすぎる」ことです。 

そもそも、皮膚には「常在菌(じょうざいきん)」と言って一定の菌がもともと生息しています。そして、実はこの常在菌がいるからこそ変な菌が皮膚にくっついても、増殖できず悪さができない、と言われています。常在菌がすでになわばりを占領して侵入者を守ってくれているわけですね。 

さらに、どんなに完全に消毒しても常在菌は数時間経つとまた元通りにどこからか増えて生えてきます。ですから、普段からあまりに必死になって殺菌することは、あまり意味がないどころか、逆にバイ菌にやられやすくなる可能性もあります。また、洗いすぎで皮脂が洗い流されて乾燥してしまい、皮膚のバリア機能が低下することもあります。私は、この手洗い方法を2日間も続けると手がもうカサカサになってしまっていつも大変です。看護師さんや美容師さんの手荒れがひどい方多いのは、この「洗いすぎ」も一因と言われています。

 というわけで、手洗いはもちろん重要ですが、特にインフルエンザの感染が疑われる人混みなどにお出かけした場合以外は、必要以上に神経質に石鹸を使ってゴシゴシ洗う必要はないんですね。 そこで、このパーフェクト手洗い法を、「石鹸を使わずに、水だけでしっかり行う」というのをオススメします。石鹸を使うのはせいぜい1日に1回あるかないかくらいで良いでしょう。 

風邪やインフルエンザにかからないように、ご家族や お友達にもぜひお伝えしてみてください!