あやし皮膚科クリニック病院だより

第139回『危険なじんましんのサインとは!?』

こんにちは、理事長の工藤です。前号では「おなかの金属アレルギー 」についてお話ししました。今回は、「危険なじんましんのサインとは!?」というお話しをします。

危険なじんましんのサインとは!? 

あなたは蕁麻疹(じんましん)がでたことはありますか?ある日突然、からだのあちこちがムズムズしてきます。

気が付くと、かゆみがでて、皮膚には蚊に刺されたような赤いぶつぶつが・・・。

それがどんどん広がって、まるで赤い地図のようなカタチになり、かゆくてひっかいたところは盛り上がってミミズ腫れになる・・・。

じんましんの症状はだいたいこんな感じです。じんましんは、からだ中に広範囲にわたってでることも少なくありませんし、見た目も真っ赤で派手です。

しかもかゆみがひどい場合、夜も寝られません。私も、じんましんで全身がかゆくなり、ひと晩の間、一睡もできなかった経験があるのでよくわかります。なので多くの患者さんは、とてもあわてて来院されます。しかしほとんどの場合、その派手な見た目とかゆみとは裏腹に、それほど危険はありません。 

ただし、重症の場合は話が違ってきます。重症の場合、のどにもじんましんが出てしまいます。そうすると、はじめはのどがイガイガする程度なのですが、さらに悪化すると、徐々にのどが腫れて空気の通り道がせまくなるため、呼吸が苦しくなります。こうなると窒息の危険があります。すぐに病院へ向かってください。また、じんましんによって全身の血管が広がってしまい、血圧が急激に下がったりすることもあります。これもいわゆるショック状態であり、非常に危険です。すぐに医療機関を受診するか救急車を呼ぶ必要があります。

 ■自宅でできる、じんましんの見分け方 

よく、湿疹が出ている方が「じんましんが出てしまって」と来院されます。また、「かゆい湿疹が出ていたのに、診察室で順番を待っている間に消えてなくなってしまった」というお話もよく聞きます。さて、じんましんの見分け方ですが、「ひとつの場所にでた赤みが数時間で一度消えてしまう」のが、じんましんの最大の特徴です。「湿疹」など他の病気は、一旦皮膚に症状がでたら数時間や半日程度で消えてしまうことはまずありません。ですので、

「さっきまで出ていたが待合室で待っている間に消えてしまった」

「夕方から夜にかけて出るが、翌朝にはすっかり消えてしまう」

「朝起きてすぐ出るが、お昼にはあとかたもなく消える」などという場合は、その話だけでほぼ「じんましん」だと診断がつきます。

 基本的に、皮膚科では、皮膚の症状を「実際にこの目で見て」みないと診断をつけるのは難しいです。ですので、「現在は症状が出ていない」方からお話だけを伺って、診断することは基本的にできません。たとえば「今は治ってしまったのですが、半年前に首に赤みが出ていて・・・。なんの病気だったのでしょうか?」と相談をうけても、診断は困難です。しかし、じんましんだけはお話だけで、ほぼ診断がつきます。よく患者さんから「いつも皮膚科を受診しようと思うんですが、受診できそうなときに、ぶつぶつが出ていないので受診できなくて・・・。」という声を聞きますが、そのお話だけで「短時間で出たり消えたりしている」ことがわかるのでほぼ「じんましん」と診断できます。ですので、その場合は、「現在症状がでていなくても」気になさらず、受診してください。