あやし皮膚科クリニック病院だより

第131回 『ストレスで皮膚病は悪化・発症する』

こんにちは、理事長の工藤です。前号では 「格言『後医は名医』って知ってますか?」についてお話ししました。今回は、「ストレスで皮膚病は悪化・発症する 」についてお話します。

 

ストレスで皮膚病は悪化・発症する

皮膚の病気は「精神的なストレス」や「疲れ」などと非常に関係が深いです。もちろん、それが全てではありませんが患者さんと日々接している感触からすると、実際に、西洋医学で一般的に言われているよりもずっとずっと深く、メンタルと皮膚病は関連していると感じます。例えば、アトピー性皮膚炎などでは精神的なストレスがあると湿疹が悪化する場合があります。また、口唇ヘルペスや帯状疱疹などウイルスもストレスや疲労で発症します。ヘルペスや帯状疱疹の原因となるウイルスはふだんは体内に潜んでいます。免疫力がしっかりあれば原因ウイルスは抑えられており、無症状です。しかし、精神的なストレスや疲れがたまり、体の免疫力が低下すると、潜んでいたウイルスが再活性化し口唇ヘルペスや帯状疱疹というかたちで発症します。職場の部署が移動になったり、遠方へ転勤になって、急に体に湿疹がでる方も多いです。また、嫁姑関係や、友人関係、学校での問題、妊娠や子育ての問題などで、皮膚症状がでる方もいます。

■まずは「ストレスがある」ことを自覚しましょう!

明らかにストレスが原因で皮膚病が悪化している患者さんに「何かストレスや疲れがありますか?」と聞いたときに、キョトンとした感じで、「えっ、何もストレスなんかないですけど」という方も少なくありません。ストレスがあることを自分で認識できていないため正直、ちょっと心配になります。皮膚(からだ)は明らかに「ストレスがたまっているよ!」と教えてくれているのですが、本人に自覚がありません。すると、本人は「まだまだ大丈夫!」とさらにストレスがたまる方向へ行動を増してしまう危険があります。皮膚の病気は発症すると「厄介なもの」と考えがちです。しかし、それが大事なカラダやココロからのメッセージである場合もあります。例えば、糖尿病やコレステロールなど検査しなければわかりにくい病気と比べると「皮膚の病気」は目でみえます。ですので、もし、皮膚の病気がでたらそれは、カラダが「わかりやすいかたち」で「あなた、疲れていますよ」とメッセージをくれているのかもしれません。 

「結婚」「妊娠」「個人的な成功」「長期休暇」など一見おめでたいことや、ポジティブだと思われるできごとも、強いストレスになっている場合があることです。本人としては「まさか、おめでたい出来事なんだから、今、ストレスなんて感じているわけがない」とますます「ストレス源」だと気づきにくくなります。嬉しいことでも悲しいことでも、「大きな環境変化」があればそれはストレスになり得る、ということをよく覚えていてください。

皮膚病はあなたのカラダとココロからのメッセージであることもあります。そんなときは、そのメッセージに少しだけでも良いので耳を傾けてみてください。