あやし皮膚科クリニック病院だより

第128回 『帯状疱疹(たいじょうほうしん)』

こんにちは、理事長の工藤です。前号では 「保湿剤は3系統あるって知ってましたか?」についてお話ししました。今回は、「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」についてお話します

■帯状疱疹ってどんな病気??

「帯状疱疹」は、高齢者の病気だと思っている方もいますが、からだの免疫力・抵抗力が低下した時に発症するので、若くても発症します。ですからあなたにも発症する可能性があります。そして、病院の受診と治療が遅れると、大変な後遺症(帯状疱疹後神経痛)が残ることがあります。きちんと、この病気について知っておくことをおすすめします。帯状疱疹はウイルスが原因で起こります。原因ウイルスは、「varicella-zoster virus(水痘-帯状疱疹ウイルス)」です。「水痘(すいとう)」と「帯状疱疹」は同じウイルスが原因です。そのため、このウイルスに「水痘-帯状疱疹ウイルス」という名前がついています。ちなみに、この「水痘(すいとう)」とは「みずぼうそう」のことです。あなたは子供の頃、「水ぼうそう」にかかったでしょうか?水ぼうそうは、「水痘ワクチン」があるので、ワクチンを接種した方もいらっしゃるでしょう。この「水痘-帯状疱疹ウイルス」が、初めて子供の体に感染すると、「水痘(水ぼうそう)」を発症します。水痘自体は、1週間で治りますが、実は、このウイルスは死滅するわけではありません。体内に残り、からだのどこかの神経の一部に潜伏します。普段は、そこでおとなしくしています。何年も、何十年もおとなしく潜伏しています。ですから、ほとんどの大人は、このウイルスを既に持っています。ところが、あなたがストレスや病気、疲れたりして、からだの抵抗力が落ちてくると、それまで潜伏していたウイルスが再活性化し、神経を伝ってウイルスが顔をだし、皮膚にも悪さをします。これが「帯状疱疹」です。

■帯状疱疹の症状って??

「水痘」と「帯状疱疹」は原因ウイルスが同じですが、その「症状」は全く違います。帯状疱疹の「典型的な症状」を挙げます。まず、皮膚に症状が出る数日前から、病変部の皮膚に、「神経痛のようなピリピリした痛み」や、「重苦しさ、違和感」「痛がゆい感じ」がします。そして、その数日後に、皮膚症状がでます。最初は、数ミリ大の「少し盛りあがった小さい赤み」ですが、その後、徐々に小さい「水疱(みずぶくれ)」ができはじめます。そして少しずつ発疹の範囲が広がっていきます。この発疹は数日でピークをむかえますが、この水疱がどんどん広がり、広範囲に及ぶこともあります。この頃は、かなり強い「ぴりぴりとした痛み」を感じるようになります。また、発疹が広範囲に広がった場合、発疹が治まった後にも、皮膚に潰瘍(きず)・瘢痕(へこみ)が残ることもあります。ただし、このウイルスは神経に沿って悪さをするので、発疹の範囲は、神経の範囲、神経の走行に沿った出かたをします。そのため、基本的には、体の片側にでます。神経は体の左右で別な枝が伸びていることが多いためです。例えば、顔の右半分、体の左半分、右の太ももだけ・・・などのようにです。そのため、体の正中線を越えて両側に出るようなことがあれば、帯状疱疹でない可能性が高いです。痛みのピークは、発疹が出てから7~10日ごろです。その後は徐々に痛みは治まってきて、消えます。発疹は徐々にかさぶたになり、3~4週間で治癒します。多くは、茶色く色素沈着(しみ)が残りますが、数か月から数年で徐々に消えていきます。これが「典型的な」症状です。ただし、病院の受診と治療が遅れると、大変な後遺症が残ることがあります。それが帯状疱疹後神経痛です。長くなりましたので、こちらの症状については、また次回、お話したいと思います。