あやし皮膚科クリニック病院だより

第126回 『おでこにカサカサしたフケと赤みがでました』

こんにちは。理事長の工藤です。前号では 「『水いぼ』はどうやって治療するのですか?」についてお話ししました。今回は、「おでこにカサカサしたフケと赤みがでました」という内容です。

■おでこにカサカサしたフケと赤みがでました

 日常的に非常によくみる病気で、男性だけでなく女性も発症します。この病気になったことのある方はもちろんですが、かかったことのない方も、予防のために、事前に予備知識として知っておいた方が良いと思います。というのも、この病気になると、顔に赤い湿疹が出て、そこにかさかさしたフケもでるため、外見的に問題になることが多いからです。では、まずは典型的な症状からお話します。顔の「額」、特に「髪で覆われた部分」「髪の生え際」や、「眉間」「鼻の周り」などに赤くてカサカサしたフケを伴う湿疹ができます。かゆみを伴うことが多いです。たいていは顔だけですが、稀に、ワキや体にも広がることがあります。顔には「脂漏部位(しろうぶい)」というのがあります。皮脂が出やすく、テカリやすい部分ですね。女性の方は「Tゾーン」と言えばすぐにわかるかと思います。具体的には、額、眉間、鼻のあたりなどです。この部分は「脂腺」という皮脂を産生する器官が多く存在するので、どうしても皮脂の分泌量が多くなります。この皮脂が皮膚の上で分解されると刺激になります。ここに、「マラセチア」という皮膚の常在菌が増殖してさまざまな反応や刺激を起こして、脂漏性皮膚炎になると考えられています。この原因とされる「マラセチア」は真菌(カビ)の一種です。「えっ、カビですか!さわったらうつるんですか?」と心配される方もいらっしゃるかも知れません。しかし、この菌は常在菌なので、あなたの皮膚にもいます。普段は特に悪さをするわけではありません。皮脂の分泌が増加すると、この菌が増殖するようです。皮脂の分泌が多くなる原因として、ストレス、睡眠不足、多量の汗、食事の偏り、化粧品などが挙げられます。また、体質的に皮脂が多い、いわゆる「脂漏体質」も関係します。

■脂漏性皮膚炎の治療と再発予防のポイント

 炎症が起きて、皮膚が赤くなってかゆみもある時期は、まず炎症を抑えないといけません。その場合はステロイド軟膏で治療します。あまり強くないステロイドで、十分効くことが多いです。数日から一週間以内できれいに治ることが多いです。ただ、脂漏性皮膚炎は慢性で再発性の病気です。放っておくと、忘れたころにまた再発します。原因として、マラセチアという真菌(カビ)の一種が発症に関わっている、というお話をしました。そこで、真菌(カビ)をやっつける外用薬、いわゆる「抗真菌薬」の外用が再発に有効です。その他に、漢方薬も処方されることがあります。皮脂が出やすい体質や、ストレス、睡眠不足などの生活習慣もその原因です。そのため、ストレスを避け、規則正しい生活を心がけます。さらに、バランスのよい食事や十分な睡眠時間を取ることが勧められます。低刺激性のシャンプーで皮脂を落として清潔にするように心がけましょう。発症していない方は、少し気をつけておくと予防になって良いと思います。