人の言葉をまねしておしゃべりするインコ。鳥類は気管の分岐点にある 「鳴管(めいかん) 」を使って声を出しています。鳥類の中でもインコは、鳴管の周りの筋肉が発達している鳥です。そのため、鳴管を震わせると人間が話すような声が出せます。さらに、舌が分厚く、自由に動かすことができるので、物まねも得意です。
インコは人間の言葉だけでなく、他の地域に住むインコの「方言」もまねするといわれます。研究したのは、米ニューメキシコ州立大学の生物学者、ティモシー・ライト。音声をグラフ化したソノグラムを用いて、コスタリカに生息するボウシインコの鳴き声を比較しました。
その結果、どのインコも群れの仲間とのやり取りで特定の鳴きかたをしており、その音声には地域ごとの異なる特性(方言)があることが分かりました。加えてライトは、インコが他の地域の方言を聞いたとき、それに合わせて鳴き声を変えることも発見したのです。
研究室で飼育する小さな群れの中でも、同様の行動が見られました。各群れそれぞれ方言が生まれ、他の群れと出会った時には、お互いの方言をまねしたのです。
人間もインコも、音に耳を澄まし、聞いた音をまねて発声をします。このような方法で、他者とコミュニケーションをとる生き物は多くありません。野生のインコは、つがいの相手や仲間との結びつきが強い生き物です。家で飼われているインコは、周囲の人間の声をまねることで、人間と仲良くなろうとしているのでしょう。
ライトは、「インコにとって、他者の発声を覚えることは重要なことです。同じように発声することで、仲間として認められるのです。」と語っています。
このインコのコミュニケーション法は、人間にも参考になりそうだと思いませんか。相手の声の大きさやトーン、話すスピード、などまねしてみると、親密度がグッとアップするかもしれませんよ。